香川県内の水道統合について。

「香川県広域水道施設整備計画概要図(案)」浄水場統合のイメージより転載
「香川県広域水道施設整備計画概要図(案)」浄水場統合のイメージより転載

香川県では県内全域の水道事業の統合が進行しています。このような県内全域での事業統合は日本では始めてとされています。

日本の水道施設は、稼動後、既に40年から50年以上経過し、その多くが更新時期を迎えています。また、人口減少による給水量の減少に伴う収益の減少や水道職員の大量定年退職による技術力の確保の問題、さらには地震に対する施設の耐震化の推進など、多額の経費を要する様々な課題に取り組む必要があることから、厳しい経営環境となることが予想されています。しかし、各市町村の水道事業者が単独で対応するには限界があり、これらの課題を克服し、将来にわたって持続的に安全で良質な水道水を安定的に供給できるようにしていくために水道事業の広域化の必要があるとされています。

 

新たな水道広域化のイメージ
「水道広域化検討の手引き」 厚生労働省 平成20年8月  “新たな水道広域化のイメージ”より転載

香川県では人口・給水収益の減少の中で各市町の水道事業が施設更新を進めて単独経営を続けた場合、家庭で20立方メートルを利用した際の平成43年の月額水道料金は、高松市では2倍近い金額に、小豆島の土庄町では約4倍になるなど、各市町で大幅な値上げが避けらません。さらには現在の2倍近い県内市町間の料金格差は43年には約4倍に広がるとしています。

この様な背景から香川県は水道サービス水準を確保・向上し県内の水道事業のあるべき姿を検討するべく、平成20年度から県内水道事業の統合・広域化について調査検討を始めました。平成25年4月には、岡山県から直島町を除く16市町と県で構成する「香川県広域水道事業体設立準備協議会」を設置しています。また協議会では調査結果を「香川県水道広域化専門委員会報告書」にまとめております。報告書では香川県内水道の特徴、現状と課題を分析し香川県水道のあるべき姿として市町及び県の設立による離島部も含めた「県内1水道」による広域化を提案しています。以下、同報告書についてまとめました。

香川県内水道の特徴

報告書では県内の水道の特徴として以下の7つあげています。①頻発する渇水に伴う渇水調整している。②県内の水道取水量の2分の1近くを香川用水に依存している。③富山県に次いで少ない市町村数と④東京都に次いで少ない水道事業数としている。⑤瀬戸内海の離島の存在。⑥岡山県からの分水受水。そして、⑦香川用水は省エネ型(低炭素型)の水供給システムであるとしています。

香川県内水道の現状と課題

さらに、現状と課題として以下の7つの視点で香川県内水道における現状と課題を整理しています。

①施設の老朽化、耐震化
昭和40~50年代に整備した水道施設が老朽化し、大規模な施設更新が必要である。平成21年度以降、過去3カ年平均の建設改良費 (約102億円)の約2~3倍の更新需要が見込 ま れ財源の確保が必要である。施設の耐震化率が低く、施設更新に合わせた耐震化の推進が必要である。

②収益の悪化
給水人口及び 1人当たり有収水量の減少に伴う料金収入の悪化。 香川県全体の損益及び内部留保金は、それぞれ平成26年度、平成39年度にマイナスに転じる。 また水道料金に約2倍の格差がある。

③技術力の確保
今後10年で、職員の約5割が定年退職するため、技術の承継を考慮した人材・技術力の確保が必要である。

④渇水への対応
頻発する渇水に対する県全体での効果的な対応が必要である。

⑤環境への負荷低減
地球環境問題等を背景に、水道事業における積極的な環境対策への取り組みが必要である。

事業統合の効果

そして報告書では香川県内の水道の特徴と課題を踏まえて将来的な事業統合の効果として以下の5点を挙げております。

①経営基盤の強化として水道施設のダウンサイジング 、二重投資の回避 さらに管理部門の効率化。②料金・サービス格差の是正 ・料金格差の是正 ・サービス格差の是正と維持向上。③技術力の強化 、施設水準の維持向上 、技術職員の効率的配置と人材育成。④渇水対策・危機管理の強化 、水源の一元管理による効率的な水融通 、危機管理体制の強化 、相互バックアップ機能の強化。⑤環境への負荷低減 ・施設の効率化を図りCO2の削減。

香川県水道事業のあるべき姿

最後に報告書では県民すべてに、安全な水を、地震、災害時を含めて安定的に供給していくためには、各水道事業者が個別利害を超えて広域的な見地から連携・協力し、経営基盤の強化や水源の一元管理などにより、課題を克服していくことを目指した「広域化」が有効な手段であり、離島を含めた香川県全域を対象区域とした「県内1水道」を推進すべきであるとしています。更には「市町及び県」での運営母体設置が最良であるとしています。


厚生労働省健康局 水道課 水道計画指導室
水道広域化検討の手引き~水道ビジョンの推進のために~」(平成20年8月)
水道事業における広域化事例及び広域化に向けた検討事例集(平成26年3月)

香川県水資源対策課
水道広域化」「香川県広域水道事業体設立準備協議会 開催状況

水道技術セミナーと阪神水道企業団 尼崎浄水場の視察に参加してきました。

技術営業の池田です。先日の1月16、17日の2日間の日程で兵庫県尼崎市で公益財団法人水道技術研究センター主催の技術セミナーに参加してきました。今回は第27回ということで「変化に対応した水道システムの構築」をテーマに 尼崎市中小企業センター でのセミナーと阪神水道企業団 尼崎浄水場の視察でした。

1月16日の水道技術セミナーでは最近の水道行政の動向から平成28年の熊本地震、阪神大震災の体験談など、興味深い内容ばかりでした。近年の水道事業を取り巻く状況は人口減少、水道料金収入減少、水道施設の老朽化、職員数の減少、さらには水道料金の原価割れなど厳しい状況になっており、特に小規模事業体はさらに深刻な状況にあるため、全国の22道府県で広域化に向けた検討が行われているとのことでした。

水道料金の国際比較
(図1)水道料金の国際比較(日本水道協会「水道統計(平成25年度)」「家庭料金/月10m3使用料金」より)
阪神水道企業団の尼崎浄水場
阪神水道企業団の尼崎浄水場(中央管理室)
オゾン発生器と高度処理水テイスティング
オゾン発生器と高度処理水テイスティング

セミナーでは水道料金で一部の事業者が原価割れをしており、持続可能な観点で適正な料金水準が望まれるとのことです。一般的に日本の水道は高品質かつ安価であるといわれており、(図1)のように日本の水道料金は他の国と比較すると平均値は、ニューヨークと同水準にあるものの、各国の主要都市と比較すると、比較的低水準になっていることが分かりました。

 

1月17日は阪神水道企業団の尼崎浄水場を見学に参りました。尼崎浄水場は、阪神地域における水需要の増加や淀川の原水の水質悪化などから、高度浄水処理技術の導入し更には耐震化施策を推進し、平成 17年より給水を始めた施設です。

高度浄水処理のオゾン処理においてはオゾンの強力な酸化作用を利用して、カビ臭や有機化学物質を分解します。オゾンは強力な消臭剤であり、残留オゾンを自動制御することにより、一定以上の消毒効果が期待できるとのことです。

尼崎浄水場では、より効果的なオゾン発生及び水質安定をめざし、酸素原料で高濃度オゾンを発生させ、下方注入式オゾン接触槽でオゾンを溶解・反応させる方式を採用しています。水に溶解しなかったオゾンは、排オゾン処理装置により酸素に還元し排気します。

浄水場内にあるピュアハウスで出来立ての高度処理水のテイスティングができました。

地震災害時の漏水調査技術員の派遣に関する協定書について(熊本市)

弊社の所属する全国漏水調査協会(東京都千代田区)では大規模地震災害時における漏水調査技術員に関し、昨年から熊本市上下水道局と協議調整を重ねて参りましたところ、平成28年10月25日に締結にいたりました。

本協定は、災害時に管路施設の応急復旧に必要となる漏水調査作業に対し、全国漏水調査協会から派遣される調査員について必要な事項を定めております。

漏水調査 緊急連絡網
地震災害時の防災対策組織表(熊本市)

全国漏水調査協会
〒102-0074 東京都千代田区九段南3丁目9番11号マートルコート麹町1002号
TEL:03-5275-3680 FAX:03-5275-4977
EMAIL:info@zenroukyou.jp

熊本市上下水道局
〒862-8620 熊本市中央区水前寺6丁目2-45
TEL : 096-381-1133 (代表)
時間外窓口(夜間、土日、祝日) TEL : 096-381-0012

音聴が困難な場合はトレーサー式で漏水調査します。

トレーサー式漏水調査
(図1)トレーサー式漏水調査 状況

漏水調査は漏水音を探知して漏水位置を特定します。現場周辺の騒音が大きすぎる、漏水があるのだけど微量で漏水音が小さい、また地表が土・草むらで漏水探知機による調査が難しい場合はトレーサー式漏水調査を行います。

トレーサー式漏水調査とは

トレーサー調査概念図
(図2) トレーサ工法 概念図

トレーサー式漏水調査とはヘリウム(He)を水道管に注入し、噴出したガスを検知器で探知して漏水箇所を探知します。(図2参照)ヘリウムガスは気体の中で最も分子量が小さく軽い為に漏水箇所から噴出したガスは地表に向けて砂や土粒子の隙間を通過して地表に向けて垂直方向に透過します。ヘリウムは地表面で漏水地点付近を中心に、円形の濃度分布を描きながら拡散します。ここで漏水点をヘリウム分布の高濃度中心点をトレーサー発見器(ガス検知器)によって発見します。

トレーサー式調査事例について

調査事例は以下のようになります。

◎新設の水道管・配水管等の水漏れ調査
◎大規模公園での植え込み部の漏水調査
◎冷暖房空調施設配管等の漏れ調査
◎消火管の漏水調査
◎石油備蓄施設などの漏れ調査
◎気密保持が必要な構造物の漏れ調査
◎高速道路のシーリング、防水シートの漏洩箇所調査
◎舗装されていない公園の灌漑用配管の漏水調査

トレーサ式漏水調査 Q&A

○ヘリウムガスは安全ですか?

ヘリウムは、「非可燃性ガス」で火には反応せず、水素に次いで軽い元素で不活性ガスです。ヘリウムは軽いため我々が吸う空気には含まれていませんが自然界には、多く存在するごく平凡な物質です。安全な浮揚用ガスなのでに風船や広告用バルーンなどに多く利用されています。ただ、ヘリウムは空気中にはほどんと含まれておらず、天然ガス中に数%含まれている程度です。日本ではほどんと輸入ヘリウムに頼り希少ですので高価になります。

○騒音が激しい調査区域でも利用できる?

トレーサー式調査は、漏水音を探知器によって捕捉し、調査技術者の聴覚で判断する従来工法とは違います。周囲の騒音に影響されることがなく、昼間に漏水調査作業が可能です。トレーサー調査は、地表に到達したヘリウムを質量分析器を搭載した装置によって、漏水箇所を特定するために開発されました。交通量の激しい調査区域や繁華街で漏水が発生しているがどこか特定できない現場や24時間操業している工場などの調査に威力を発揮します。

○調査管路に複数の漏水があった場合は発見が可能ですか?

調査管路上の漏水箇所が2m以上離れていれば漏水地点の特定は可能です。通常の埋設深度1.2mに対して、ヘリウムの拡散範囲は一つの漏水箇所について半径2m地点の濃度は低く、近接した漏水中心位置からのヘリウム濃度の測定は可能です。

○雨天での使用はできますか?

雨天での使用はできません。通常、雨天での屋外作業はしませんが、特にこれら機器は蒸気や水分に弱く内部の分析管に混入した場合は、故障の原因になります。

○埋設深度が深くても漏水発見ができますか?

埋設深度に影響されることなく、漏水箇所を判断することが可能です。漏水箇所から噴出したヘリウムが拡散し上昇移動する時間は、かかりますが地表に到達します。ヘリウムが地表で検出が可能であれば、深度や管種、管口径に影響されることはありません。

○調査手順は、また、調査技術者は1班何人?

トレーサー式調査で最も重要な作業は、調査管路の何処からヘリウムガスを注入することが可能かを判断することです。下見調査や現場配管図をもとに、調査管路に区画水量器や消火栓等が設置されているかを調べます。

従来来工法との比較

トレーサー調査と従来からの漏水調査方法の比較対照は表1の通りです。

(表1)トレーサー工法と従来工法との比較と特徴
(表1)トレーサー工法と従来工法との比較と特徴

本年も宜しくお願い申し上げます。

徳島市小松海岸 (平成29年1月1日 7時7分)
徳島市小松海岸 (平成29年1月1日 7時7分)

~謹賀新年~

昨年は格別 の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。
本年も社員一同、皆様にご満足頂けるサービスを心がける所存でございますので、 何とぞ昨年同様のご愛顧を賜わりますよう、お願い申し上げます。
皆様のご健勝と益々のご発展を心よりお祈り致します。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

平成29年 元旦

株式会社トクスイ
代表取締役 滝本佳範