音聴が困難な場合はトレーサー式で漏水調査します。

トレーサー式漏水調査
(図1)トレーサー式漏水調査 状況

漏水調査は漏水音を探知して漏水位置を特定します。現場周辺の騒音が大きすぎる、漏水があるのだけど微量で漏水音が小さい、また地表が土・草むらで漏水探知機による調査が難しい場合はトレーサー式漏水調査を行います。

トレーサー式漏水調査とは

トレーサー調査概念図
(図2) トレーサ工法 概念図

トレーサー式漏水調査とはヘリウム(He)を水道管に注入し、噴出したガスを検知器で探知して漏水箇所を探知します。(図2参照)ヘリウムガスは気体の中で最も分子量が小さく軽い為に漏水箇所から噴出したガスは地表に向けて砂や土粒子の隙間を通過して地表に向けて垂直方向に透過します。ヘリウムは地表面で漏水地点付近を中心に、円形の濃度分布を描きながら拡散します。ここで漏水点をヘリウム分布の高濃度中心点をトレーサー発見器(ガス検知器)によって発見します。

トレーサー式調査事例について

調査事例は以下のようになります。

◎新設の水道管・配水管等の水漏れ調査
◎大規模公園での植え込み部の漏水調査
◎冷暖房空調施設配管等の漏れ調査
◎消火管の漏水調査
◎石油備蓄施設などの漏れ調査
◎気密保持が必要な構造物の漏れ調査
◎高速道路のシーリング、防水シートの漏洩箇所調査
◎舗装されていない公園の灌漑用配管の漏水調査

トレーサ式漏水調査 Q&A

○ヘリウムガスは安全ですか?

ヘリウムは、「非可燃性ガス」で火には反応せず、水素に次いで軽い元素で不活性ガスです。ヘリウムは軽いため我々が吸う空気には含まれていませんが自然界には、多く存在するごく平凡な物質です。安全な浮揚用ガスなのでに風船や広告用バルーンなどに多く利用されています。ただ、ヘリウムは空気中にはほどんと含まれておらず、天然ガス中に数%含まれている程度です。日本ではほどんと輸入ヘリウムに頼り希少ですので高価になります。

○騒音が激しい調査区域でも利用できる?

トレーサー式調査は、漏水音を探知器によって捕捉し、調査技術者の聴覚で判断する従来工法とは違います。周囲の騒音に影響されることがなく、昼間に漏水調査作業が可能です。トレーサー調査は、地表に到達したヘリウムを質量分析器を搭載した装置によって、漏水箇所を特定するために開発されました。交通量の激しい調査区域や繁華街で漏水が発生しているがどこか特定できない現場や24時間操業している工場などの調査に威力を発揮します。

○調査管路に複数の漏水があった場合は発見が可能ですか?

調査管路上の漏水箇所が2m以上離れていれば漏水地点の特定は可能です。通常の埋設深度1.2mに対して、ヘリウムの拡散範囲は一つの漏水箇所について半径2m地点の濃度は低く、近接した漏水中心位置からのヘリウム濃度の測定は可能です。

○雨天での使用はできますか?

雨天での使用はできません。通常、雨天での屋外作業はしませんが、特にこれら機器は蒸気や水分に弱く内部の分析管に混入した場合は、故障の原因になります。

○埋設深度が深くても漏水発見ができますか?

埋設深度に影響されることなく、漏水箇所を判断することが可能です。漏水箇所から噴出したヘリウムが拡散し上昇移動する時間は、かかりますが地表に到達します。ヘリウムが地表で検出が可能であれば、深度や管種、管口径に影響されることはありません。

○調査手順は、また、調査技術者は1班何人?

トレーサー式調査で最も重要な作業は、調査管路の何処からヘリウムガスを注入することが可能かを判断することです。下見調査や現場配管図をもとに、調査管路に区画水量器や消火栓等が設置されているかを調べます。

従来来工法との比較

トレーサー調査と従来からの漏水調査方法の比較対照は表1の通りです。

(表1)トレーサー工法と従来工法との比較と特徴
(表1)トレーサー工法と従来工法との比較と特徴