農業用水の管内カメラ調査とは?

徳島県内で農業水利施設でのストックマネジメントの一環として管内カメラ調査を実施しました。

近年、耐用年数を迎える農業用水利施設の数は急増して更新が必要になっています。しかし、近年の国や地方公共団体等の財政が逼迫しており、限られた予算では、耐用年数に達する基幹水利施設のすべてを更新していくことが困難です。

ストックマネジメント

そのような背景に、最近は補修・補強等により施設を長寿命化させ、総費用を低減させることを目的として「ストックマネジメント」という手法を導入しています。

一般的に「ストックマネジメント」とは、農業用施設の点検診断による補修を通じて、施設の有効活用や長期利用による、全体的なコストを低減する技術や管理手法です。

管内面調査を実施

今回はストックマネジメント手法における農業用水管路の機能診断調査として管内カメラ調査を実施しました。

調査では、管体のひび割れ、たわみ状況及び継手間隔、また、ダクタイル鋳鉄管、鋼製異形管にあっては塗装・腐食、錆状況といった調査項目を確認することができます。今回は内視鏡カメラと自走式カメラによる調査を実施しました。

●管内視鏡カメラ調査

管内部に水があったり、人間または自走式カメラが進入できない箇所では、空気弁の下などに設置されているボール式補修弁からカメラケーブルを押し込んで内視鏡カメラを管内に挿入します。

管内部のシールコート、鉄錆、砂等の夾雑物の存在状況、スケールの付着状況、塗装やライニングの劣化状況、管接合部や異形管内面の腐食状況、バルブ弁体部の状況等が容易に調査、把握できます。

 

内視鏡カメラの調査状況
内視鏡カメラの調査状況
管内の状況
管内の状況

>>>過去blog 水道菅内不断水カメラ調査について

●自走式管内カメラ調査

口径が800mm以下で、管内に人間が入ることができない管路には自走式のカメラで調査しました。この調査では堆積物の有無や堆積状況、継手の接合状態の確認、管内部のひび割れ状況、管扁平率などを測定しました。

 

自走式カメラの組立及び設置状況
自走式カメラの組立及び設置状況
自走式カメラの制御状況
自走式カメラの制御状況
管内の撮影状況

>>>自走式管内カメラ調査システム資料

>>>農林水産省HP「農業水利施設のストックマネジメント

 

 

水道菅内カメラ調査技能講習会を受講致しました

令和元年5月24日(金)、弊社社員2名が(一社)全国水道管内カメラ調査協会主催の「協会認定カメラ技能講習会」を受講致しました。

管内カメラ調査とは、専用の内視鏡カメラ装置を用いて水道管内の状況を映像で確認し、録画・記録したものを分析・報告する業務のことを指します。

主に管内の錆の状態や内面付着物、内面防食塗膜状況、堆積物、浮遊物、弁の状態、曲管や分岐箇所及び穿孔箇所の位置や状態、継手の胴付け間隔などを調査します。

今回会場となった大阪市水道局体験型研修センターは、取水から浄水管理、給水に至る水道の総合的な運営を習得できる教育訓練施設で、配管工事や漏水調査等の研修を実際の施工現場に即して行うことができます。

技術講習会

午前は施設セミナー棟にて協会所属の講師3名による講義が行われました。
まず、岡正専門委員が水道事業について概説し、続いて下村啓之技術委員(東芝テリー)がカメラ調査に用いるルミナスカメラの技術解説、最後に藤原泰則技術委員(日本水機調査)がカメラ調査の目的・効用や手順、留意点を解説しました。岡委員は水道事業の現状と将来的な問題として、

○需要の低下(人口減少や大口施設の自家水転換など)
○老朽施設の増加(高度成長期に整備された管路の経年劣化)
○運営基盤の問題(上記の理由による減収や更新費用の増大)
○維持管理の難しさ(職員の減少・高齢化、災害リスクなど)

を挙げ、今後水道施設の維持管理に携わる技術者に期待される役割の重要性を説明しました。

下村委員はルミナスカメラ(NH-40)の特徴として、画像記録機能付の液晶モニタとケーブルドラムが一体となっており、軽量で持ち運びが容易であること、自動水平機能によりカメラ映像の天地判別が容易であることなどを説明しました。

藤原委員は実際の調査に基づく留意点として、主に現場下見の重要性(弁体の確認など)や調査時に復路の映像を残すこと(付着物が剥離した状態の確認)、安全の確保や衛生の保持について解説しました。

実技講習会

午後は研修センター給水施設棟にて実技講習が行われました。
実習では3班に分かれ、1名ずつ管内カメラ装置の組立て、装置の消毒、カメラの挿入、映像データの保存まで行いました。実際に弁体の段差等をスムーズに通過させるには、挿入装置の操作の熟練が必要であることが理解できました。

 

管内カメラ調査協会技能講習会 研修状況

■講習会場

大阪市水道局体験型研修センター(大阪市東淀川区柴島3丁目11ー94)

■受講者

株式会社ウォーターサポート、カワナベ工業株式会社、株式会社サンスイ、大成機工株式会社、東北企業株式会社、株式会社トクスイ、藤野興業株式会社、扶桑建設工業株式会社

■技術指導

株式会社国実水道、大成機工株式会社、日本水機調査株式会社

■座学講師

  • 岡正専門委員(日本水道協会)「水道事業について」
  • 下村啓之技術委員(東芝テリー)「ルミナスカメラについて」
  • 藤原泰則技術委員(日本水機調査)「カメラ調査の概要、留意点」

>>一般社団法人全国管内カメラ調査協会

水道菅内不断水カメラ調査を実施しました

今回の調査は給水管より異物が検出、濁水が発生した為に配水管内の状態を調査し診断する為に委託されました。

水道菅内不断水カメラ調査(注1)は、水道水の起因による地域住民の健康被害、生活環境汚染を防ぎ、水道管の経年変化による管内堆積物や内面付着物及び既設管路の形状を内視鏡カメラで調査を行い、維持管理に必要な情報を得るとともにその効率を高めることを目的としています。

今回の調査は、既設の消火栓又は空気弁を利用して配水管内に内視鏡カメラを挿入し、指定した範囲の管、異形管及びバルブ類の内面の付着物の状況、夾雑物の堆積状況及び腐食状況等について確認するとともに、映像を記録するものでした。

調査の結果、一部管路では濁水の原因となるシールコート(注2)の剥離、管内面全周にわたっての付着物、堆積物を多く確認しました。

さらに(一社)全国水道管内カメラ調査協会の発行するガイドラインに準じて菅内評価(注3)を実施し今後の対策を提案しました。

今回の劣化シールコート、付着物、堆積物、夾雑物等の除去には特殊洗管工法(注4)を提案しました。また健全なシールコートを残しつつ、劣化したシールコート片を特殊洗管工法により除去することも可能です。

また、錆瘤は各異形管または消火栓下のT字管にありますが、これらの錆瘤の除去は漏水発生の恐れもある為、特殊洗管工法により表面を除去する程度に留め、その後経年監視を行うこと又は、局部更生を提案しました。

(注1)水道菅内不断水カメラ調査

導水管・送水管・配水管などの管内を、有圧状態・断水不要で確認できます。既存の地下式消火栓や空気弁の下に設置されているボール式補修弁(Φ75もしくはΦ100)からケーブルを押し込むことにより、管路内に内視鏡カメラを挿入します。補修弁がない・取り出し出来ない等の問題がある場合は、サドル分水栓(Φ50)を新設し挿入することができます。

>>水道菅内不断水カメラ調査

(注2)シールコート

ダクタイル鋳鉄管の内面には防食対策としてモルタルライニングが施されているがシールコートはモルタルライニングの表面に塗布された液状の塗料。昭和42年に、JWWA A107「水道用モルタルライニング鋳鉄管モルタルライニング」が制定され、原則としてシールコートを施すこととされ、昭和45年には、全てのダクタイル鋳鉄管にシールコート(塗膜厚は数30μm)が施された。(2006 國實誉治)

(注3)菅内評価基準について

一般社団法人 全国水道管内カメラ調査協会 (管路内面診断評価委員会)による診断基準。水道管内カメラ調査ハンドブック(2014.5)

>>菅内評価基準

>>一社)全国水道管内カメラ調査協会(管路内面診断評価委員会)

(注4)特殊洗管工法:SCOPE工法

SCOPE工法とは既設の消火栓等を活用し、超圧縮性の特殊PCボールを管内に投入し、下流の消火栓等から回収してその間を洗管する洗管工法です。

>>SCOPE工法とは

参考文献

1.國實誉治「配水管網における洗管調査に基づいた濁質発生量の推定」環境工学研究論文集・第43巻・2006 (Environmental Engineering Research. Vol. 43, 2006)

2.日本水道協会 水道維持管理指針(2016)

3.一般社団法人 全国水道管内カメラ調査協会 水道管内カメラ調査ハンドブック
(2014.5)

4.一般社団法人 全国水道管内カメラ調査協会 水道管内カメラ調査標準歩掛(2017)

5.シールコートの使用経緯について>>https://www.kubota.co.jp/product/ironpipe/support/pdf/seihin-012-01.pdf

 

 

参考動画

シールコート剥離状況

異形管の錆による閉塞状況


サドル分穿孔状況