インドネシア共和国のバンドン工科大学チャンドラ教授の講演会

先日の11月23日に神戸大学瀧川記念学術交流会館でインドネシア共和国のバンドン工科大学 教授のチャンドラ セティアディ氏の講演会(*1)がありました。

チャンドラ教授は、バンドン大学の環境研究センター長であり、微生物・バイオプロセス工学研究所所長も兼任され、インドネシアの水研究の第一人者です。今回のセミナーでは水普及率が3割にとどまっている同国の現状分析と今後の経済発展に伴う水環境の保全、日本企業による水ビジネスの可能性について講演がありました。

 

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チャンドラ教授の講演

 

(*1)主催 (公財)新産業創造研究機構、先端膜工学研究推進機構、神戸大学 学術・産業イノベーション創造本部

講演概要

◎地球温暖化による気候変動の影響と人口集中による水源不足

インドネシアは地球温暖化にともなう気候変動による乾期と雨期の雨量が変化、ゲリラ豪雨が水源貯水力、洪水、土壌浸食による濁度の上昇などの影響を与えている。さらにはジャワ島への人口一極集中による慢性的な水不足、環境悪化による水質問題が顕著である。水資源管理は多分野、諸機関にまたがるために諸機関の調節が困難で人材管理に限界がある。

◎国内の水政策方針と各水道公社の課題

インドネシアの安全な水へのアクセス率は68.8%(2014)である現状をふまえて、政府の中期開発計画で2019年までに安全な飲料水へのアクセスを、管路で59%、非管路では41%全体では100%をめざすとする。また地方の水道公社(PDAM)の経営状況と問題点として1.料金採算性、2.経営効率性、3.職員の能力、4.低い普及率、5.財務問題、6.24時間の常時給水率の低さ、7.高いNRW(無収率)を挙げ、課題解決のための日本企業のパートナーシップを求めた。

インドネシア共和国概要

インドネシア共和国は17,508の島嶼からなる世界有数のイスラム教国、人口2.55億人、336の民族、太平洋とインド洋、アジアとオーストラリアの間に位置する、東西5,150KM、南北20,00KMで81%は海に囲まれている。

インフラ整備は他のASEAN諸国と比較して立ち後れている。原因としては複雑な意思決定過程(中央と地方との権限の重複、コンセンサス重視)、土地収用困難、インフラファイナンス制度の未成熟(特にPPPにおける経験不足)、対外借入の抑制(正負保障を含む)低い予算執行率などがいわれている。また、貧富の格差、1日2ドル以下 43.3% 存在し貧富格差問題が存在し、地震、津波、火山噴火、洪水など多発し自然災害国であり、 温室ガス排出世界4位である。(JICA 2016)