インドネシア共和国の現地調査に参加いたしました。

平成29年1月30日から2月1までの3日間に厚生労働省の主催の「平成28年度水道産業国際展開推進事業」であるインドネシア共和国の上水道案件についての現地調査に参加いたしました。当社は上水道のNRW(注1)、及びWater Loss(注2)(無収水及び漏水)管理に関する技術支援と海外展開の為の現地調査を目的としています。

今回の現地調査によりインドネシアは水不足、水質汚染、地盤沈下、高いNRW 率などの数多くの課題を抱えていることがわかった。このような課題解決のための水源開発、オランダ植民地時代からの老朽配管の更新、漏水削減、そして水道普及率向上などのマスタープランを作成している。しかし、現状は政府体制、政府の資金及び技術のみでは難しく他国の支援、PPP(注3)を含め様々な可能性を模索している。当社の中核の技術はインドネシアでは必要とされている技術であり同国の水道支援にコミットしていきたい。

 


インドネシア公共事業・国民住宅省
(写真2)インドネシア公共事業・国民住宅省

1月30日の午前はインドネシア公共事業・国民住宅省の人間住居総局、水道システム開発局(写真2)と国内の広域水道整備や水源開発、ジャカルタ水道に関する意見交換を致しました。

 

インドネシア水道協会
(写真3)インドネシア水道協会(PERPMSI)

午後はインドネシア水道協会(PERPMSI)の事務局長らと地域の水道公社(PDAM)と日本企業の協力についての意見交換をいたしました。(写真3)

 

ジャカルタ市水道公社(PAMJAYA)との協議写真
(写真4)ジャカルタ市水道公社(PAMJAYA)

1月31日午前はジャカルタ市水道公社(PAMJAYA)の代表団との水道事業の説明と・意見交換がありました。(写真4)本協議ではジャカルタ市水道事業の2社の民間企業におけるコンセッションの状況及び終了後の運営方針、今後の日本の支援の在り方について意見交換がなされました。

 

PALYJA Cilandak浄水場見学の様子
(写真5)PALYJA Cilandak浄水場

午後にはジャカルタ市の西側を給水するコンセッショネアであるPALYJA《株主はスエズ(仏)と地元企業の合弁》の水処理施設を見学しました。(写真5)

 

Buaran 1& 2 浄水場見学の様子
(写真6)PT Aetra Air Jakarta Buaran 1&2 浄水場

 

2月1日の午前はジャカルタ市の東側を給水するコンセッショネアである PT Aetra Air Jakarta 《株主はアクアティコ(シンガポール系ファンド)で2007年にテムズウォーター(英)が株式を売却》の浄水場を見学しました。(写真6)

午後には公共事業・国民住宅省で無収率(NRW)を41%から17%に削減した水道公社KotaMalangのプレゼンテーションがありました。インドネシア政府は無収水、漏水削減のベストプラクティスとしてKotaMalangに管路管理の研修施設の建設を考えており日本企業の参画を呼びかけていました。

(注1)NRW(Non Revenue Water)無収水量:浄水場で生産した上水のうち、料金収入にならない、盗水や漏水の水量。貴重な水資源の浪費、上下水道公社の経営悪化に繋がっており、給水制限や給水サービス地域が広がらないことの原因

(注2)Water Loss 漏水:水道管の老朽化などの原因による損失

(注3)PPP(Pablic Private Partnership)公民連携:公民が連携して公共サービスの提供を行うスキーム。PFI、指定管理者制度、市場化テスト、公設民営(DBO)方式、さらに包括的民間委託、自治体業務のアウトソーシング等

 

日本代表団とPAMJAYA及びPALYJAとの集合写真

 


◎インドネシア公共事業・国民住宅省の人間住居総局、水道システム開発局と協議概要

・インドネシア政府の目標は2015~2019 年に100%の安全な水へのアクセス率達成である。これに向けて配管整備は2015 年の20%から2019 年には60%を目指しているが、公共事業・国民住宅省の予算合計では全体の2 割しかカバーできず、他は、地方政府、銀行ローン、民間投資、CSRファンド、財務省などで調達しカバーする必要がある。

・2014 年の第23 号法令では政府が水源の責任を有することを定めた。また2015 年の第121 号省令では、単独自治体内の水供給は当該の自治体政府、複数の自治体に供給する場合は州政府、複数の州政府に供給する場合は中央政府の管轄となることが定められている。

・2015 年第122 号省令では末端給水事業は政府、地方政府の管轄となる。同省令による水道事業の再公営化は多くの国民が水道にアクセスできるようにすることを目的に法令整備したためである。現在のコンセッションだと民間企業が貧困層に供給することが難しい。ただ、工業団地内などで、政府が許可すれば、民間が末端給水事業を実施できる。

・ジャカルタの水道については現在、西部は仏スエズ社と地元ASTRA グループとの合弁会社の(PT PAM Lyonnaise Jaya )PALYJA と東部は【シンガポール系ファンド。当初の民間企業(英テムズ社)が撤退後に参入】Aetra Air Jakarta(AETRA)の民間企業が存在するが、同省令に基づき、2023 年のコンセッション終了後は給水事業は(ジャカルタ水道公社)PAM JAYA が実施することになる。

・2016 年第19 号大臣令では、政府によるPPP(Private Public Partnership)官民連携支援について定めている。民間企業は取水から配水場までのバルク給水(用水供給事業)についてはPPP で実施できる。採算が合わない場合は、FiscalとNon-Fiscal との二通りの政府支援が活用できる。Fiscal は財務省によるVGF(Viability Gap Funding)採算補充 と、公共事業・国民住宅省による施設整備との2 パターンが利用可能である。なおVGFは最大で49%。Non-Fiscal は資金面以外の政府保証である。これらの政府支援は事業のFeasibility を向上させるための対策だが、B to B 民間企業と水道公社との契約スキームには適用されず、B to Bの全てのリスクは企業が取る必要があるとのこと。

◎インドネシア水道協会(PERPAMSI)との協議概要

・ NRWは全国平均32%、ジャカルタは40%のため、この点での日本の技術に期待している。また、日本の水道サービスや基準化についても支援して欲しい。

・ 経営状況などのパフォーマンスが悪いPDAM の改善に取り組む必要がある。
PERPAMSI が実施しているSolidarity Partnership ではNRW が低いPDAM が高いPDAM を支援しているのだが、どうすれば更に改善できるか、あるいはエネルギー効率化や会計システムの改善などの分野で協力して欲しい。

・ クリニックというプログラムがあり、浄水技術やNRW、サービスなど様々な課題を抱えるPDAM に対し、PERPAMSI が適切なドクターとしてのPDAM を仲介して相談することも行っている。セミナーも開催しており、最近ではIT 技術をどう使うか、例えば環境基準の理解促進への応用などをテーマとしている。 先週、カリマンタンで原水処理問題の報告会があった。泥炭湿地の色度の問題もある。日本の企業で解決技術を持っていれば協力して欲しい。

◎ジャカルタ市水道公社(PAM JAYA)の概要

1998年にPAM JAYA は財政の逼迫によりジャカルタ市を東西に二分割して、水道事業運営の民営化に踏み切る。現在、民間企業のPT PAM Lyonnaise Jaya (PALYJA)(ジャカルタ市西部地区)とPTAetra Air Jakarta (AETRA)(ジャカルタ市東部地区)が、25 ヵ年のコンセッション契約(2023 年1 月まで)により運営維持管理を行っている。コンセッション契約はスハルト独裁政権下で、競争入札を経ることなく契約が締結されている。現在PAM JAYA は民間企業の業務監理と水道サービスのモニタリングを主な業務としている。

ジェトロ主催の「水ビジネスセミナー」に参加してきました。

11月7日にマイドーム大阪でジェトロ主催の水ビジネスセミナーに参加してきました。今回は東南アジア4ヶ国(タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア)における水関連政策や規制についてと進出企業の事例発表でした。事例発表は全てメーカーで汚泥脱水処理機の株式会社研電社、ポンプの株式会社鶴見製作所、濾材、濾過器の日本原料株式会社の中堅・中小企業3社で、進出先での現地パートナー関係や模倣機器対策やJICA(国際協力機構)の支援について講演していました。

ジェトロ 環境・インフラ課 アドバイザー 酒井 英彦
ジェトロ 環境・インフラ課 アドバイザー 酒井 英彦

現在の東南アジア4ヶ国での求められている技術は、上水道分野においては漏水・無収水対策、管路網の管理、水源水質の汚染対策、高度処理、水質モニタリング、浄水場の計装・管理等の要素技術、民間資金導入による浄水場等運営等であるとし、海外進出における成功要因は現地企業パートナーの信頼確立、価格設定としていました。以下はセミナー概要です。

 


東南アジア4ヶ国においての国土面積はインドネシアが日本の5.1倍、タイが1.4倍、ベトナム、マレーシアが約9割程度である。各国の人口は2015年でインドネシアが2億5.5千万、ベトナム9.1千万、タイ6.8千万、マレーシア3.1千万人であり、近年は急激に増加傾向である。1人当たりのGDPはマレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムの順に高い。水道管路による給水率についてはベトナム、インドネシアは20%台、タイは57%でマレーシアのみ約96%程度と高い。

維持管理、運営分野での最近の日本企業の活動
タイ王国では2013年東京水道サービスが無収水対策のパイロット事業を受注し、TESCO(タイ王国首都圏水道公社)と合弁でTSS-TESCO社を設立している。シンガポールでは2016年日本工営がTigris Water Partnershipに出資し、アジア諸国での水関連のEPC(設計、調達、建設事業)事業を拡大させるとのこと。ベトナムでは2013年に国際航業がHueWACO(フエ省水道公社)にGIS、水道維持管理システムの構築を受注している。地方自治体では2013年に北九州市が神鋼環境とベトナムハイフォン市で高度処理施設を受注し、JICAのジャカルタ下水道整備調査をコンサル数社と受注している。

タイ王国の水政策
タイの給水は首都水道公社、地方水道公社、地方自治体が担う。11%は管路給水がなされていない。国家水戦略として2060年までに255の都市コミュニティ・経済地域へ新しい給水システムの開発、688の地域に給水サービスの拡大を目指す。

ベトナムの水政策
主管庁は建設省、各地方人民員会の建設局が担当している。都市部では傘下に水道運営会社を保有。PPP(官民連携〉事業も実績がある。社会経済開発10ヵ年計画では安全で清潔な水アクセスを都市部で95%、農村部で90%を目標とする。

インドネシアの水政策
水の監督官庁は公共事業・住宅省、その中で人間居住総局が上下水道を管轄、水資源総局が水資源のの開発管理を担う。上下水道の管理運営は地方自治体が担う、自治体により傘下の公社に移管している場合がある。都市部の水道管接続率は33%と東南アジアの中でも遅れており、水道管以外では、個人の井戸、小規模水販売業者あるいは水販売スタンドに頼っている。農村部では大部分は浅井戸、雨水貯水、近くの表流水を利用している。政府の「中期開発計画2015-2019」では2019年までに安全な飲料水へのアクセスを、管路で59%、非管路では41%全体では100%をめざす。具体的には2019年までに1000万世帯に対して水道接続をおこなう。その予算は4000億から6400億円規模としている。

マレーシアの水政策
マレーシアはエネルギー・環境技術・水省が水政策、開発プロジェクトの計画評価と監視、国家水サービス委員会が上下水道サービスに関する監督をおこなう。マレーシアの上水道整備率は95.5%と高いが無収水率が35%と高い。「第11次マレーシア計画2016~2020」では上水道利用率99%、無収水率を25%を目指す。