貯水タンクにおける電気分解による塩素の再生成について。

残留塩素の管理

水道水は法律の定める塩素濃度(0.1mg/l以上)を満たした安全な水です。しかし、私たちが利用する水道水はビルやマンションの受水槽で一度蓄えられる場合ほとんどです。ここで適正な管理がされていない場合、塩素濃度が低下し雑菌が侵入すると食中毒や伝染病の原因となることがあります。常に貯水タンクの水道水が入れ替わっていれば問題ありませんが、長期滞留や夏場の水温が上昇する場合は残留塩素が減少し基準を下回る懸念あります。塩素濃度が低下した場合には次亜塩素酸ソーダを貯水タンクに追加注入する方法がありますが薬品の品質管理や注入機器の維持管理、さらには過剰注入により発がん物質の消毒副生成物質の発生リスクが高まります。

山間部や離島部の水質管理

近年は高齢化や人口減少で地方における山間部や離島部で水道などの水質管理を行なう人手が不足しています。特に、船舶での運搬給水や、海底送水管で長距離給水を行なっている離島、複数の貯水池を経由している山間部の施設では水質の安定した水道水の供給が困難になってきております。

災害時の貯水タンク利用

一方で地震災害では、貯水タンクが給水拠点として活用されたことが報告されています。特に災害避難所に指定されている公共施設の貯水タンクは大きな役割を果たしました。また、災害発生時に手術用の水や人工透析用の水を確保する必要のある病院では、貯水タンクの増設・大規模化が進められています。ますます貯水タンクの水質管理が重要となってきます。

電気分解による残留塩素の再生成と管理

このような貯水タンクの水質管理において、電気分解による塩素生成の技術が、「水道事業の統合と施設の再構築に関する調査」(平成25年2月 厚生労働省健康局水道課)に取り上げられるなど、安全な水の管理のための新しい手段として注目されています。この技術は水道水に含まれている塩素イオンを利用して、消失した有効塩素を電気分解により再生成するというものです。この装置により残留塩素濃度の低下を予防し水質管理コストの低減と消毒副生成物質の発生を抑制するきめ細かい水質管理が可能になります。電気のみで飲料水の衛生管理が可能であるために災害時の利用が期待されています。

 


NATURISER ナチュライザー

販  売:株式会社トクスイ 徳島県徳島市川内町沖島84番地
製造販売:エヌエスシステム株式会社 大阪府吹田市江坂町1丁目12番40号

 

インドネシア共和国の現地調査に参加いたしました。

平成29年1月30日から2月1までの3日間に厚生労働省の主催の「平成28年度水道産業国際展開推進事業」であるインドネシア共和国の上水道案件についての現地調査に参加いたしました。当社は上水道のNRW(注1)、及びWater Loss(注2)(無収水及び漏水)管理に関する技術支援と海外展開の為の現地調査を目的としています。

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香川県内の水道統合について。

「香川県広域水道施設整備計画概要図(案)」浄水場統合のイメージより転載
「香川県広域水道施設整備計画概要図(案)」浄水場統合のイメージより転載

香川県では県内全域の水道事業の統合が進行しています。このような県内全域での事業統合は日本では始めてとされています。

日本の水道施設は、稼動後、既に40年から50年以上経過し、その多くが更新時期を迎えています。また、人口減少による給水量の減少に伴う収益の減少や水道職員の大量定年退職による技術力の確保の問題、さらには地震に対する施設の耐震化の推進など、多額の経費を要する様々な課題に取り組む必要があることから、厳しい経営環境となることが予想されています。しかし、各市町村の水道事業者が単独で対応するには限界があり、これらの課題を克服し、将来にわたって持続的に安全で良質な水道水を安定的に供給できるようにしていくために水道事業の広域化の必要があるとされています。

 

新たな水道広域化のイメージ
「水道広域化検討の手引き」 厚生労働省 平成20年8月  “新たな水道広域化のイメージ”より転載

香川県では人口・給水収益の減少の中で各市町の水道事業が施設更新を進めて単独経営を続けた場合、家庭で20立方メートルを利用した際の平成43年の月額水道料金は、高松市では2倍近い金額に、小豆島の土庄町では約4倍になるなど、各市町で大幅な値上げが避けらません。さらには現在の2倍近い県内市町間の料金格差は43年には約4倍に広がるとしています。

この様な背景から香川県は水道サービス水準を確保・向上し県内の水道事業のあるべき姿を検討するべく、平成20年度から県内水道事業の統合・広域化について調査検討を始めました。平成25年4月には、岡山県から直島町を除く16市町と県で構成する「香川県広域水道事業体設立準備協議会」を設置しています。また協議会では調査結果を「香川県水道広域化専門委員会報告書」にまとめております。報告書では香川県内水道の特徴、現状と課題を分析し香川県水道のあるべき姿として市町及び県の設立による離島部も含めた「県内1水道」による広域化を提案しています。以下、同報告書についてまとめました。

香川県内水道の特徴

報告書では県内の水道の特徴として以下の7つあげています。①頻発する渇水に伴う渇水調整している。②県内の水道取水量の2分の1近くを香川用水に依存している。③富山県に次いで少ない市町村数と④東京都に次いで少ない水道事業数としている。⑤瀬戸内海の離島の存在。⑥岡山県からの分水受水。そして、⑦香川用水は省エネ型(低炭素型)の水供給システムであるとしています。

香川県内水道の現状と課題

さらに、現状と課題として以下の7つの視点で香川県内水道における現状と課題を整理しています。

①施設の老朽化、耐震化
昭和40~50年代に整備した水道施設が老朽化し、大規模な施設更新が必要である。平成21年度以降、過去3カ年平均の建設改良費 (約102億円)の約2~3倍の更新需要が見込 ま れ財源の確保が必要である。施設の耐震化率が低く、施設更新に合わせた耐震化の推進が必要である。

②収益の悪化
給水人口及び 1人当たり有収水量の減少に伴う料金収入の悪化。 香川県全体の損益及び内部留保金は、それぞれ平成26年度、平成39年度にマイナスに転じる。 また水道料金に約2倍の格差がある。

③技術力の確保
今後10年で、職員の約5割が定年退職するため、技術の承継を考慮した人材・技術力の確保が必要である。

④渇水への対応
頻発する渇水に対する県全体での効果的な対応が必要である。

⑤環境への負荷低減
地球環境問題等を背景に、水道事業における積極的な環境対策への取り組みが必要である。

事業統合の効果

そして報告書では香川県内の水道の特徴と課題を踏まえて将来的な事業統合の効果として以下の5点を挙げております。

①経営基盤の強化として水道施設のダウンサイジング 、二重投資の回避 さらに管理部門の効率化。②料金・サービス格差の是正 ・料金格差の是正 ・サービス格差の是正と維持向上。③技術力の強化 、施設水準の維持向上 、技術職員の効率的配置と人材育成。④渇水対策・危機管理の強化 、水源の一元管理による効率的な水融通 、危機管理体制の強化 、相互バックアップ機能の強化。⑤環境への負荷低減 ・施設の効率化を図りCO2の削減。

香川県水道事業のあるべき姿

最後に報告書では県民すべてに、安全な水を、地震、災害時を含めて安定的に供給していくためには、各水道事業者が個別利害を超えて広域的な見地から連携・協力し、経営基盤の強化や水源の一元管理などにより、課題を克服していくことを目指した「広域化」が有効な手段であり、離島を含めた香川県全域を対象区域とした「県内1水道」を推進すべきであるとしています。更には「市町及び県」での運営母体設置が最良であるとしています。


厚生労働省健康局 水道課 水道計画指導室
水道広域化検討の手引き~水道ビジョンの推進のために~」(平成20年8月)
水道事業における広域化事例及び広域化に向けた検討事例集(平成26年3月)

香川県水資源対策課
水道広域化」「香川県広域水道事業体設立準備協議会 開催状況

地震災害時の漏水調査技術員の派遣に関する協定書について(熊本市)

弊社の所属する全国漏水調査協会(東京都千代田区)では大規模地震災害時における漏水調査技術員に関し、昨年から熊本市上下水道局と協議調整を重ねて参りましたところ、平成28年10月25日に締結にいたりました。

本協定は、災害時に管路施設の応急復旧に必要となる漏水調査作業に対し、全国漏水調査協会から派遣される調査員について必要な事項を定めております。

漏水調査 緊急連絡網
地震災害時の防災対策組織表(熊本市)

全国漏水調査協会
〒102-0074 東京都千代田区九段南3丁目9番11号マートルコート麹町1002号
TEL:03-5275-3680 FAX:03-5275-4977
EMAIL:info@zenroukyou.jp

熊本市上下水道局
〒862-8620 熊本市中央区水前寺6丁目2-45
TEL : 096-381-1133 (代表)
時間外窓口(夜間、土日、祝日) TEL : 096-381-0012

音聴が困難な場合はトレーサーガス式漏水調査

漏水調査は漏水音を探知して漏水位置を特定します。現場周辺の騒音が大きすぎる、漏水があるのだけど微量で漏水音が小さい、また地表が土・草むらで漏水探知機による調査が難しい場合はトレーサーガス式漏水調査を行います。 “音聴が困難な場合はトレーサーガス式漏水調査” の続きを読む

本年も宜しくお願い申し上げます。

徳島市小松海岸 (平成29年1月1日 7時7分)
徳島市小松海岸 (平成29年1月1日 7時7分)

~謹賀新年~

昨年は格別 の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。
本年も社員一同、皆様にご満足頂けるサービスを心がける所存でございますので、 何とぞ昨年同様のご愛顧を賜わりますよう、お願い申し上げます。
皆様のご健勝と益々のご発展を心よりお祈り致します。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

平成29年 元旦

株式会社トクスイ
代表取締役 滝本佳範

水道管内カメラ調査を実施いたしました。

給水管内視鏡カメラ調査状況
調査状況
給水管内視鏡カメラ調査 管内状況
管内状況

今回の管内カメラ調査は給水時に濁水が発生するために施設内の給水管の内面状態を確認いたしました。調査の結果、給水時の濁水は配管の施工時の問題による鉄錆の可能性がありました。

NH-40
不断水内視鏡装置 ルミナス(NH-40)

《水道管内不断水カメラ調査とは》

当社の水道管内不断水カメラ調査は既設の消火栓やサドル分水栓から不断水で、カメラを挿入します。この装置を用いることで、断水を行わずに、管路内の状態、濁質の発生、内面腐食状況などがリアルタイムの映像で調査できます。通常の通水状態で調査が可能であるために様々な状況で活用可能です

○水道管路内の濁質原因調査
○管体・異形管の内面状況把握
○消火栓等のT字管縦管部の腐食状況調査
○仕切弁開閉状況の確認
○工事施工後の検査 等々

《水道管内不断水カメラ調査の特徴》

本調査は大口径管の調査が可能であり、既存の地下式消火栓や空気弁下のボール式補修弁を介してカメラを挿入するので工事が不要です。

◎不断水で圧力下の管路内の状況が確認可能(耐水圧1.0Mpa)

◎広範囲の口径の管路調査が可能(対象口径Φ75~800㎜)

◎既存の地下式消火栓や空気弁下のボール式補修弁を介してカメラを挿入するので工事不要(要補修弁径Φ75㎜以上)

◎ボール式補修弁がない場合、サドル分水栓(Φ50㎜コア無)を取り付ければ調査可能

◎上流・下流側それぞれ約35mの調査が可能(現場・管内状況等により変動有)

 

徳島市内で漏水調査技術研修施設を開設しました。

 

漏水調査研修
漏水調査実技研修風景《機器説明》
漏水調査研修
漏水調査実技研修風景《音聴棒》

当社の所属する日本漏水調査システム協会(徳島市)が徳島市内に漏水調査技術者の育成を目的として漏水調査技術研修施設を開設いたしました。

日本の水道は高度成長期時代に布設した水道管の老朽化により維持管理が重要となっており、一方で民間企業、水道事業者ともにベテラン技術者の大量退職などにより水道技術の継承、育成などが喫緊の課題となっております。

特に漏水調査は地上からの発見が困難な地下に埋設された水道管からの漏水を探知するために、様々な電子機器や探査技術が必要となり、この様な機器の取扱や技術の習熟には長い経験が必要です。

今回開設した施設では実際の現場でしか経験できない漏水を擬似的に発生させて漏水特定の為の技術を習得することができます。

当施設は日本の民間企業、水道事業者の技術者の育成だけではなく、開発途上国の水道事業における無収水対策などの課題解決の為の技術協力にも取り組んでいきます。

 


漏水調査技術研修施設
トレーニングフィールド
漏水調査技術研修施設
研修室
漏水調査技術研修施設 配置図
漏水調査技術研修施設 配置図

《施設概要》

○運営:日本漏水調査システム協会
○場所:徳島市川内町平石若宮8番7
○総面積:トレーニングフィールド858㎥ 研修室30㎥(20名の研修が可能)
○配管:HIVP、SGP、SUS、PP・LPのφ13~75mm
○その他設備:消火栓、仕切弁、水道メーター、水管橋
○工法:漏水探知機による路面音聴、音聴棒、超音波流量測定、水圧測定、相関式漏水調査、監視型漏水調査、トレーサー式漏水調査、不断水管内カメラ調査など
○連絡:日本漏水調査システム協会 TEL 088-632-7525 FAX 088-632-1854

当社のロゴがデザインノートに掲載されました。

designnote1400
近藤デザイン事務所ホームページ http://www.tk-design.jp/category/news/より転載

2016年11月26日発売のデザインノート 70号〈誠文堂新光社〉の特集ページ「日本全国のロゴ&マーク」に当社のロゴが掲載されました。

当社のロゴは徳島市の近藤哲朗氏にデザインして頂きました。

《近藤デザイン事務所》
〒771-1154 徳島県徳島市応神町東貞方字貞光155-2
http://www.tk-design.jp/

 


株式会社トクスイ ロゴのコンセプト

tokusuiロゴ

社名ロゴタイプの一部を水道管に見立て、
漏水調査・水道関連の企業であるということを表現しています。

ブルーの円は水と地球であり、日本よりも深刻な世界の漏水問題に対して、今まで培ってきた技術で貢献し、一人でも多くの人に水を届ける、持続可能な水事業で地域を支えたいという企業ビジョンの象徴です。

 

インドネシア共和国のバンドン工科大学チャンドラ教授の講演会

先日の11月23日に神戸大学瀧川記念学術交流会館でインドネシア共和国のバンドン工科大学 教授のチャンドラ セティアディ氏の講演会(*1)がありました。 “インドネシア共和国のバンドン工科大学チャンドラ教授の講演会” の続きを読む